わたし、入院しています

急に入院した女の話

わたし、入院していますep.3

1/28未明

夜中に何度か身体が痛くて目が覚める。

お腹が痛いっていうより脇腹、腰、背中、なんか胸から腰までの間全部が軋んで痛い。体制変えたいなと思う時が、痛みが強くなってる時なんだなとなんとなく気がついた。
痛い時は熱も高いし血圧も高い。いつも110/70ぐらいなのが、135/90ぐらいになってる。

朝先生がベッドのところに来た。
「今日予定通りMRIと、ついでに明日の予定だった胃カメラもやっちゃいましょう。それで様子を見ます」

とのこと。どちらも午前中に検査するそう。
は〜いわかりました…

看護師さんに検査前にトイレに行っておきましょう、と言われトイレに行くことに。やはり車椅子が用意される。私の部屋、トイレの目の前なんだけど申し訳ないのう…と思いつつ車椅子で移動。トイレのドアの前で車椅子を固定して、「終わったら呼び出しボタンで呼んでくださいね!」と言われる。
しかしトイレ座って用を足すだけでもまあまあ消耗する。あと点滴したり酸素飽和度計測するやつ指につけてるからそのコードに絡まりそうで焦る。色々終わってズボンあげて呼び出しボタン押した時にはもうフラフラで、ああ車椅子でよかったわ、と思った。自分の体なのに、予測がつかなくてもどかしい。


「チョロ寺さんMRI呼ばれましたので行きましょうか〜」
「はーい」

看護師さんの隣に白髪混じりの髪をキュッと後ろにまとめて綺麗にお化粧してる60代後半ぐらいかな?小柄な女性がいた。看護師さんとは違う制服。

その人が突然、

「金目のものはないか😠?」

と言うので、かねめのもの、、、🙂?と思っていると横にいる看護師さんが

「あ、MRI行くので、金属のものとか身に付けてないですか?☺️」

と通訳してくれた。
金目のものって😂そゆこと!

「金目のものは、身につけてはいないですが、帰りにコンビニでサンダルのようなものを買いたいのでお財布だけ持っています」

と言ったら

「よし🤔コンビニね!はい!」

と非常に力強いお返事、大好き😂
仮に小森さんとします。

そして小森さんと2人で検査に向かう。
車椅子を取り回すだけでなく、点滴のスタンドも一緒に持っていかなくてはならないので結構な重労働だと思う。動きがキビキビしててかっこいい。

「この病院ほんとに綺麗ですね」
「うん!そうですねほんとにね、綺麗なんですけどね、綺麗なんですけど…🙁(ごにょごにょ)」
とマジで漫画みたいに言葉を濁すので笑ってしまった。聞いてみると、外来患者さんが使うエリアは開放的でいいけど、導線がうまくできてないから働いてる方としては非常に使いづらいんだそう。

「現場の声を聞いてないんじゃないかしら」

とぷりぷりしてた。職員や患者さんを運ぶ裏のエレベーターを待っている時も、時間によっては全く来なくて困る、緊急の患者さんを運ばないといけない場合不安なんだそう。

検査受付のところで、MRIとレントゲンですね、と言われる。あれ?レントゲンもですか?先生はMRIだけと言ってましたけど、とちゃんと確認してくれる小森さん。
ありがたいね。。。

結局どちらもやることになり、終わったら迎えに来ますので待っててくださいね、と小森さんは行ってしまった。

MRIって久しぶり、すごいうるさいやつだよなと思いつつ、またブーツ(うんこ)脱ぐのに苦戦し、台に上がる。ヘッドフォンしてください〜と装着してもらい、いざいざ。

【これから呼吸の指示が流れますので従ってください。】
【息を吸ってー吐いてー……はい止めて】

ここで止めんの?!?!?!?!
しぬ…しぬしぬ、しぬ



【はい、楽にしてください】

と言うまさかのテンポで呼吸止めるのが続く。全部で8回ぐらい?もう終わる頃にはヘトヘト…

【全体よくできています。最後一回乱れたのでもう一度だけお願いします】

ぴーーー😭😭😭

全体的に朦朧としたところでフィニッシュ…

レントゲンは立って撮らないといけなかったので辛いかなと思ったけど一瞬だったから意外と大丈夫だった。しかしトータルへろへろで小森さんと病室に戻る。
その途中サンダルを買いにコンビニへ。

「サンダル、こういうのですけどいいのかな。踵がないやつ危ないから禁止してんですよ。」
「なんでもいいです、このブーツより楽なら…」
「あ、そのブーツよりはどれでも楽だね…」
「ね…」

そして小豆色の、よくおばあちゃんが履いてるシューズをゲットしたのでした。イェーイ…

病室に戻ってベッドでぐったりして胃カメラの呼び出しを待った。

検温に来た看護師さんに、生理用品を買いたいんだけど、と相談したら、コンビニに売ってるけど一緒に買いに行くより検査の間に買ってきておこうか?と言われる。
めっちゃ助かる〜と思って夜用で、タンポンも一応、それは普通のでok.とかお願いしてたら看護師さんが
「今なんか女としての強みを感じた…」
と言いだした。
「え?どゆこと?」
「いや、これ男性の看護師だったらわかんないよなと思って」
「たしかに」
…いろんなことがあるんだろうな〜と思ったやりとりだった。

つづく

わたし、入院していますep.1

十二指腸に穴が空いて(穿孔)、そこから内容物が出て、それを周りの脂肪組織が集まってコーティングし、穴は一応空いてないけどぽこっと十二指腸から乳首みたいなのが出てて、その乳首はそのままだと感染症にかかりやすかったり、破れたりすることがあるから、投薬で治療しましょう、だいたい2週間から長くて1ヶ月かかります。

というのが概要です。でもいろんなことがあって、面白かったし生きるログとして残したいから残しておく。以下は長文。長すぎてやむを得ず連載。

1/26.朝起きたら胃が痛くて、行けるかなと仕事(植木屋)に行ったけど、三脚一番上まで登ったところで「あ、これは今日無理だな」と早退してそのまま病院へ。熱はなし、血液検査したけど炎症反応は少ないので、緊急性はなさそうかなと痛み止めの注射だけ打たれ、帰宅(すでに朦朧)、そのまま寝る。と言っても寝てても寝てられないほどの痛みが続く。ベッドの上でまんじゅうみたいになってみたり…。のたうちまわってみたり…途中ゼリー飲料飲むも朝食べたスープもろとも全部吐く。胃腸炎のひどいのかなあ…でも下痢はない。とにかく家族に移さないようにしなきゃ…と朦朧とした頭で考える。トイレもほとんど匍匐前進みたいな感じで。

あれ、なんか熱いな…と思ったら熱が38.4度あった。この状況ではまず発熱診療に行かないといけない。コロナの可能性もあるかもってことで家族にうつさないよう娘はばあばと寝てもらう。


1/27.保健所に電話。折り返し看護師から電話しますということで30分後にかかってきた電話で問診。咳も鼻も味覚症状もないから、コロナっていうより胃腸炎系の症状強めなので消化器内科かな?ということで病院を探してもらう。すぐ電話したら、お昼に予約が取れる。タクシーの手配しながら身支度するのが死ぬほどつらく、何度もうずくまって止まってしまう。辛い。辛すぎる。
ついに呟く、「お、おか〜さ〜ん…!」(呟くだけ)
みかねた父が車を出してくれることになったけどシートが倒せなくて辛い。芋虫みたいにもぞもぞもぞもぞ痛くない体制探すも何をどうやっても痛い。病院に着いて、そのまま半分倒れるように待合の椅子へ。ストレッチャーで移動してもらい、触診してもらう。「あ、これはうちじゃ無理!病院探して紹介状書くね。今なかなかコロナで受け入れてくれるところが少ないんだけど…」とのこと。紹介状は腹膜炎疑いだった。腹膜炎!ってなんだっけ…なんかスラムダンクの山王の我慢強いひとが試験中になってたやつ?あれ救急車で運ばれてなかったっけ?我慢強さの説明にその描写あった気がするな…
お腹の、おへその右上が押されるとものすごく痛い。離す時も痛い。なんか硬くなってるし。呼吸もずっと浅い。このとき12:00。

そのまま大きい病院へ紹介状を持って移動。父よありがとう…。
発熱があるため通常の消化器内科には上がることができず、ロビーにパーティションで作られた特別外来での対応。すぐ車椅子に変えてくれたけど、もはや車椅子も辛い。体を支えるのが辛い。車椅子の足置きに足を持ち上げて置くのがめちゃくちゃお腹痛い。もう床でいいから横にならせて欲しい。
いくつかの問診があって(渡航歴、感染者との接触についてなど)救急治療室へ移動。このとき12:45。
やっとストレッチャーに寝かせてもらえて、採血、点滴、酸素図る指のやつ装着。胸にもなんか貼ってた。熱測ると38度。
ストレッチャーに乗る時に、お腹痛いから屈めないし力入らないしブーツがなかなか脱げなくて、看護師さんが脱がせてくれたけど、そのブーツ昨日うんこ踏んだんです、本当ごめんなさいと思いながら朦朧としてて言えなかった。そもそもなんでこんなブーツ履いてきたの、とこのあと10回ぐらい看護師さんに言われる。なんでこんなうんこついたブーツ履いてきちゃったんでしょうね。ほんとにね。頭がまわんなかったんだよね。

「痛み、10段階で10がマックスだとしたら今どれぐらいですか?」
「じ…じゅうに…」
「12?!相当だね笑」

などとやりとりして、そこで痛み止めも一度点滴してもらう。痛み止めが効いてすぐ寝た後、目を覚ましたら15時だった。

救急室はいろんな人が来る。
隣のベッドのおばあちゃん、いつも通り帰るつもりで病院来たけど心不全で入院するから家族に連絡取らないといけない。家にはおじいちゃんがいる。でも家の電話は取らないようにしてるから。子どもさんの番号は?わかんないの…携帯は持ってないの?置いてきちゃった…携帯の番号は?わかんないの…。

またすこしすると公園のトイレで動けなくなってた耳の遠そうなおじいちゃんが搬送されてきた。看護師さんが「はーいーえーん!」「ま、す、く、と、ら、な、い、で」と言っている。「ここどこですか?」とおじいちゃん。

隣のおばあちゃんは奇跡的にケアマネさんの電話番号がお財布に入ってることが分かり、ご家族と連絡が取れるようになったみたいだった。

つづく。

わたし、入院していますep.2

おじいちゃんとおばあちゃんについてる看護師さんたちがなんというか優しくて楽しそうで(っていうと語弊あるんだけど)嬉しかった。

っていうかとにかく看護師さんが優しい。
優しいっていうか、器のでかい人間。
痛そうにしてれば心配した顔で痛いね、辛いね、と言ってくれて、ブーツ脱げなければ本当なんでそんなの履いてきたの!と笑いながら(うんこついた)ブーツを脱がしてくれて

「チョロ寺さん…なんかほんと着の身着のままじゃない?」
「そうなんですこんなずだ袋ひとつできちゃった…」
「多分これ入院と思うけど…」
「マジすか…」
「いやでも相当痛いでしょ…?」
「はぃい…」
「痛いよねえ、もうちょっと待っててね、ごめんね。」

このやりとりが人間〜って感じがして、守られてる感じがして、弱りきってる私は本当に安心した。

そのあと着の身着のままCTを撮ってもらう。

ところで10年ぶりぐらいにCT撮ったけど、CT撮る時には造影剤っていうのを投与する場合があるんですよ。それを投与すると、内臓が綺麗に映る薬なんだけど、ごくごく稀にアレルギー反応とか出るから(薬はなんでもそうだけどさ)事前に署名とかしないといけないんだけど。

その造影剤、体がぶわぁって熱くなって楽しい。造影剤投与すると指先から腕、体幹を通って手足の先までぶわって…セーラームーンが変身するときみたいに、なんか腕とか体幹とか足とか、リボンでパーン🎀っつって包まれて変身するみたいに、熱で包まれる感じになって楽しい。
セーラー戦士に憧れてる人は造影剤おすすめ。いやなんの話。

そのまま元のところに戻って6時までうつらうつらしてたら抗原検査しますとお知らせ。
コロナの検査しないと、通常フロアには上がれないし入院病棟にも入れない。

「ごめんね、外なんだ〜」

と言いながら看護師さんにストレッチャーに乗せられて移動。病院の救急車がつくところにパーテーションと白テントで検査する場所が作ってある。

「まずこれを被ってもらいまーす」

と透明プラでできた箱?頭にカバーするやつを置かれる。コンビニで売ってる苺大福の透明パッケージみたいなのの大きい丈夫なやつを寝てる患者の頭に被せる。顔の前面にふたつ丸い穴が空いて手が入る仕様になってて、そこから手袋した看護師さんの手がニュッと出てきて細長い綿棒を鼻に突っ込む。で結構ぐーりぐりして取る。

「いで、いだ、いだいです」
「痛いよね〜もうちょっと我慢してね、はい次左」
「いっ!いでっ!いだいっ!ひだりのほがいだいっ」
「痛いよね〜もうすぐ終わるからね〜」
「ううう〜」

私の鼻って曲がってて、左の方が鼻腔が狭いから余計痛いんだな。ちなみにインフルの検査より全然痛かったです。

その後にまた救急のエリアにもどり、いつも飲んでる薬の話になった。毎日飲んでる薬はピル(PMSと生理痛軽減目的)だけです、と言ったらピルは手術になった場合、血栓ができやすくなる薬の特性上継続して飲むのが難しいかも、とのこと。
っへ〜!!!と思いつつ、そもそも持ってきてなかったわ…と思う。ってことは明日から生理が来るのか。この状況で。うおえー辛すぎる。

「チョロ寺さ〜ん入院になります」
「わかりました〜、あれ、抗原検査陰性だったんですか?」
「じゃないと(病棟に)上がれないから笑!」
「お〜、ひとまずそれは良かった…」

そして7時ぐらいにやっと病室が決まり、移動できた。そのときは痛み止めが効いていて、車椅子でも体制を保てるほどではあった。何せ綺麗なこの病院、コンビニは24時間やっているらしい。ひとまず歯ブラシ、充電器、マスクを買ってどれぐらい入院するのかなあとぼんやりしながらお部屋に着いた。

その後に担当の消化器内科の先生が病室まで来て、CTの所見を説明してくれた。

●十二指腸が腫れてる
●胆管も腫れてる
・十二指腸が腫れてるから圧迫して胆管から消化液が出ない可能性が一つ
・胆管に石とか詰まってる可能性が一つ
・胆管は生まれつき開いてて(?)、十二指腸が腫れたことに影響うけてこうなっちゃってるの可能性が一つ

とりあえず明日MRI撮りましょう、そして明後日胃カメラね。病状を精査するために2週間ぐらい…入院してもらう事になります。という事だった。

だいたい自分の臓器把握してないから(みんなしてる?自分の十二指腸どこにあるかとか)、先生の話が文字でしか頭に入らなくて、でもなんとなく胃腸、特に腸あたりがなんかやばい。って事だけ理解した。そしてひとまずここにいれば、誰かが助けてくれるから大丈夫だ。って事も。

つづく。