わたし、入院しています

急に入院した女の話

わたし、入院していますep.1

十二指腸に穴が空いて(穿孔)、そこから内容物が出て、それを周りの脂肪組織が集まってコーティングし、穴は一応空いてないけどぽこっと十二指腸から乳首みたいなのが出てて、その乳首はそのままだと感染症にかかりやすかったり、破れたりすることがあるから、投薬で治療しましょう、だいたい2週間から長くて1ヶ月かかります。

というのが概要です。でもいろんなことがあって、面白かったし生きるログとして残したいから残しておく。以下は長文。長すぎてやむを得ず連載。

1/26.朝起きたら胃が痛くて、行けるかなと仕事(植木屋)に行ったけど、三脚一番上まで登ったところで「あ、これは今日無理だな」と早退してそのまま病院へ。熱はなし、血液検査したけど炎症反応は少ないので、緊急性はなさそうかなと痛み止めの注射だけ打たれ、帰宅(すでに朦朧)、そのまま寝る。と言っても寝てても寝てられないほどの痛みが続く。ベッドの上でまんじゅうみたいになってみたり…。のたうちまわってみたり…途中ゼリー飲料飲むも朝食べたスープもろとも全部吐く。胃腸炎のひどいのかなあ…でも下痢はない。とにかく家族に移さないようにしなきゃ…と朦朧とした頭で考える。トイレもほとんど匍匐前進みたいな感じで。

あれ、なんか熱いな…と思ったら熱が38.4度あった。この状況ではまず発熱診療に行かないといけない。コロナの可能性もあるかもってことで家族にうつさないよう娘はばあばと寝てもらう。


1/27.保健所に電話。折り返し看護師から電話しますということで30分後にかかってきた電話で問診。咳も鼻も味覚症状もないから、コロナっていうより胃腸炎系の症状強めなので消化器内科かな?ということで病院を探してもらう。すぐ電話したら、お昼に予約が取れる。タクシーの手配しながら身支度するのが死ぬほどつらく、何度もうずくまって止まってしまう。辛い。辛すぎる。
ついに呟く、「お、おか〜さ〜ん…!」(呟くだけ)
みかねた父が車を出してくれることになったけどシートが倒せなくて辛い。芋虫みたいにもぞもぞもぞもぞ痛くない体制探すも何をどうやっても痛い。病院に着いて、そのまま半分倒れるように待合の椅子へ。ストレッチャーで移動してもらい、触診してもらう。「あ、これはうちじゃ無理!病院探して紹介状書くね。今なかなかコロナで受け入れてくれるところが少ないんだけど…」とのこと。紹介状は腹膜炎疑いだった。腹膜炎!ってなんだっけ…なんかスラムダンクの山王の我慢強いひとが試験中になってたやつ?あれ救急車で運ばれてなかったっけ?我慢強さの説明にその描写あった気がするな…
お腹の、おへその右上が押されるとものすごく痛い。離す時も痛い。なんか硬くなってるし。呼吸もずっと浅い。このとき12:00。

そのまま大きい病院へ紹介状を持って移動。父よありがとう…。
発熱があるため通常の消化器内科には上がることができず、ロビーにパーティションで作られた特別外来での対応。すぐ車椅子に変えてくれたけど、もはや車椅子も辛い。体を支えるのが辛い。車椅子の足置きに足を持ち上げて置くのがめちゃくちゃお腹痛い。もう床でいいから横にならせて欲しい。
いくつかの問診があって(渡航歴、感染者との接触についてなど)救急治療室へ移動。このとき12:45。
やっとストレッチャーに寝かせてもらえて、採血、点滴、酸素図る指のやつ装着。胸にもなんか貼ってた。熱測ると38度。
ストレッチャーに乗る時に、お腹痛いから屈めないし力入らないしブーツがなかなか脱げなくて、看護師さんが脱がせてくれたけど、そのブーツ昨日うんこ踏んだんです、本当ごめんなさいと思いながら朦朧としてて言えなかった。そもそもなんでこんなブーツ履いてきたの、とこのあと10回ぐらい看護師さんに言われる。なんでこんなうんこついたブーツ履いてきちゃったんでしょうね。ほんとにね。頭がまわんなかったんだよね。

「痛み、10段階で10がマックスだとしたら今どれぐらいですか?」
「じ…じゅうに…」
「12?!相当だね笑」

などとやりとりして、そこで痛み止めも一度点滴してもらう。痛み止めが効いてすぐ寝た後、目を覚ましたら15時だった。

救急室はいろんな人が来る。
隣のベッドのおばあちゃん、いつも通り帰るつもりで病院来たけど心不全で入院するから家族に連絡取らないといけない。家にはおじいちゃんがいる。でも家の電話は取らないようにしてるから。子どもさんの番号は?わかんないの…携帯は持ってないの?置いてきちゃった…携帯の番号は?わかんないの…。

またすこしすると公園のトイレで動けなくなってた耳の遠そうなおじいちゃんが搬送されてきた。看護師さんが「はーいーえーん!」「ま、す、く、と、ら、な、い、で」と言っている。「ここどこですか?」とおじいちゃん。

隣のおばあちゃんは奇跡的にケアマネさんの電話番号がお財布に入ってることが分かり、ご家族と連絡が取れるようになったみたいだった。

つづく。