わたし、入院していますep.4
ぐったりしてたら先生が来て、チョロ寺さん、午後の検査の前に現状ご説明しますんでこちら来てもらえますか、と言って去って行った。
ワシは車椅子なんじゃ…待っとくれ…と思ってナースコールで「すみません車椅子お願いします…」とお願いする。
説明室という個室で先生が病状について説明してくれた。
「CTとMRIを見ると胃の次の十二指腸の壁が分厚くなってる。一番心配してるのが十二指腸の潰瘍穿孔(せんこう)。穴が開いてるところから内容物が外に出て、お腹の中に散らばって炎症し、腹膜炎になる、という流れね。
ただ一つおかしいなと思うのが、胃とか腸には空気が溜まってるので、穴があればそれが外に出てプツプツとfree airが見えるはずだけども、CTではそれが見えてない。クエスチョン。」
「クエスチョン」
「うん。穿孔の場合、穴があれば造影剤を流すとそれが胃カメラにうつる場合があるのでそれを計測する。
画像みてると十二指腸憩室(けいしつ)にも見える。これは年齢を重ねてくるとみんなできる、特に大腸にできやすい。腸の壁にぽこっとした窪み、部屋ができて、そこに内容物が溜まったりガスが溜まったりする。でもチョロ寺さんの年齢を考えるとちょっとできるには大きすぎる、だからこれは憩室ではなく、穿通(せんつう)なんじゃないんじゃないか?という予測。」
「せんつう?」
「穿通というのは、穴は開いてるけど他の組織で補完されているもの。穿通の場合、このまま吸収されて治るケースもあるし、ちゃんとした臓器ではないので炎症を起こしてしまう場合もある。」
「ほお…なるほど…」
「基本的には血液検査の経過がいいので、手術ではなく保存的に…保存的というのは投薬などで見ていくつもりです。」
「わかりました」
先生の絵がうますぎて、あと字が良すぎて見惚れてた。
ベッドでうとうとしかけたところに
「チョロ寺さん胃カメラ行きましょう〜」
と呼ばれる。
さっき先生は
「胃カメラやったことあります?お腹も痛いし、苦しいと辛いから今回は麻酔でね、寝てる間に終わっちゃいますから。だから大丈夫ですよ。」
と言ってた。
胃カメラか〜胃カメラは5年ぶりぐらいだな〜、前回は苦しかったけど、コード操る先生との一体感が楽しかった気がするな…眼鏡で行っちゃって、外さなきゃいけなかったから胃の中の映像が見えなくてつまんなかったから次やる時はこコンタクトで行こうと思ったんだった、、、今回麻酔で見れないのつまんないな、でもまあ苦しくないからいっか〜
と思いながら今度は小森さんじゃない方に連れてってもらう。
「このシュワシュワしたのが喉の麻酔です。口の中に含んで、上を向いてそのままにしてください、口の中がだんだんボワーンとしてきますから、飲み込まずに待っててくださいね〜」
「は〜い」
これどれぐらいこのままでいたらいいのかしらね〜…
いちごみたいな味だな…
結構体力消耗してるけども胃カメラは寝てるだけで大丈夫だし、なんとか乗り切れそう…
「はい、じゃあ飲み込んでくださいね」
飲み込むと喉が分厚くなったような不思議な感覚。麻酔が効いてるのね。
この他に呼気で麻酔があるのかな?
車椅子で検査室の中に入っていく。
検査台は全てブルーのビニールでカバーされていてなんか異様。
「ではこちらの台に乗ってください。この辺りに手をついて右側から腰をおろしましょう、そうです、はいそのまま寝て。鼻の空気をつけます、口にこれを咥えてください、ここから入ります」
透明なホースを硬化したプラスチックみたいなものを咥え、あれこれ鼻から入れるんじゃなかったっけ、このあと麻酔がくるのかな?
と思った次の瞬間
ゲホッグェ、げっほげっほげっほ(白目)
死⚰️ ⚰️ ⚰️っげっほっげほげほげほ(白目)
みたいな状況で頭が真っ白
「はいお疲れ様でした鼻から喉にかけて管入ってますけど大丈夫ですからね〜」
お?!終わってるっ、え?管?なんの話…?!!!!
ん”、ぐるじい、ぎもぢわるいなんか喉のおぐにあるううううう
これなに😇😇😇😇😇
最初に言って…と思ったけど言われたらそれはそれでずっと「鼻から喉に管?!やだなあ」とずっと思ってたと思うから言われない方がよかったのかも
この管のこの感じ……唾を飲み込もうとすると喉の奥に引っかかる何かがある、めちゃくちゃでかい魚の骨が引っかかってるような、扁桃腺がぱんぱちに腫れてるような、唾を飲み込もうとすると痛くて突っかかって辛い、そのような。
ぜえぜえいってたら看護師さんがよだれを拭いてくれて、大丈夫?立ち上がれますか?車椅子に移りますよ、足はこっちね。と誘導してくれる。
…よかった靴買っといて…スムーズに靴を履いて検査室の外に出る。
このあと検査室の外で少し待って何かしていた気がするけれど、記憶が曖昧。喉の違和感に意識がもっていかれ、胃カメラの消耗も激しく、ぐったりしていた。
そのあと熱が上がり、痛みも出て、鎮痛剤を打ってもらってその日はずっと寝てた。
つづく。