わたし、入院しています

急に入院した女の話

わたし、入院していますep.5

さて私には7歳の娘がいる。工作が好きで、なかなかに自分の気持ちを説明するのが上手な小学校一年生。ちゃっかりしてて、優しくて可愛くて、我慢強くて、あと優しい(2回言った)

彼女が4歳の時に離婚して以来、ずっと一緒に寝てきた。物理的に。
長野の時はふとんで、セブの時は広いベッドで、いまもシングルベッドで二人でぎゅうぎゅうになりながら寝てる。

たまに「そろそろ一人で寝てみようかな?」とか言ってるけど、五分ぐらいすると「やっぱりいい!ママと寝る!」と言っている。

私もまあまあでかいし、彼女は寝相が悪いし(よく回転する)、あーひとりで寝たい、と思ってだのが、この間からあっさり叶ってしまった。

腸炎かもしれない、今日はばあばと寝て、と言った次の日の朝、大丈夫だった?と聞いたら

「こんなのはじめてだから、寝れないよ、絶対に寝れない………スヤ」

という感じだったようで、良かったなと思った。夜は正直気にしてる余裕がないほど痛かった。

入院して、昼間に家族から娘の様子を聞いたりする時、痛みで夜中に目が覚めたとき、隣に(たまに上に)あの小さな、でも確かに上下する背中や肩がないことを、ああ寂しいなと思う。

いやいや、私よりも娘の寂しさいかばかりか、どうしてあげたら寂しくないかな、LINE通話をするのが良いのかなと思って、パパと遊ぶ予定の土曜日の日中、まずどうしたいかを聞いてもらうことにした。

・ママのお顔にはチューブがついているから怖いかもしれないけどそれでも電話するかどうか

・写真も送るので、事前に見た方が良ければ見ておいてもらって

「それでもママと電話したいって」

ということで時間を決めて電話をすることにした。

看護師さんに談話室に車椅子で連れてってもらうまでの間に、私がもうダメだった。電話で顔が、声が聞けると思ったら泣いてしまって、嗚咽が止まらなくなってしまい、看護師さんに

「えっ?!チョロ寺さん大丈夫ですか?お腹痛い?戻ります?!」

と二の腕のとこをさすさすされながら心配されてしまう。

「ずいまぜん…むずめとでんわできるとおもっだら…どまらなぐなっちゃって…う〜〜〜😭😭😭」
「ああ〜😣😣😣(さすさすさすさす)」
「ふー、もう大丈夫でず(ぐひん)」

呼吸に集中して、(全集中…

気を取り直して電話をした。

娘は少し照れていて、嬉しそうにパパに買ってもらったものや作ったものを見せてくれた。

髪の毛がぐっちゃぐちゃだったので、

「なんでそんな…髪の毛ぐちゃぐちゃなの??」

と聞いたら待ってましたとばかりに

「あのねえ〜!!!!きのう 大じけんが おこったんだよ! じいじの おへやで はみがき してたんだけどね、はみがきこを ふりふりしたら、ふたが しまってなくて かみのけにも へやじゅうにも はみがきこが べちゃべちゃべちゃ〜!!! ってついたんだよお😆😆😆😆😆」

そら〜大事件だしじいじマジ災難😇

「ママの、これ怖くない?」
「…うん…うん、大丈夫」

ちゃんと答えようとしてくれるその感じが愛しくて、胸が詰まる。

今ご飯もお水も食べてないんだよ、と言ったらすかさずチロルチョコを見せつけてくるあたりさすがだなと思った笑

そろそろ、切るね、と言った時にきゅ、と下唇を噛んだその顔は彼女が泣く前の顔で、何千回と見てきたのでよくわかる。我慢してるんだ。
そ、りゃ、そ、う、だ、よ、ね〜😭😭😭😭😭

なんとか泣く前に切って、またひとしきり泣いて、落ち着いてから呼び出しボタンで看護師さんに来てもらって病室まで帰った。

電話の後堰を切ったみたいに泣いちゃって、と後からラインで聞いた。

そのあとお昼からまた熱が上がり、痛み止めの点滴をしてもらった。熱と痛みで朦朧としてる中に音楽で気を紛らわそうと思ってspotifyをつけた。
そこでイヤホンで流れてきたのがBTSのHOMEで、ここでまた涙腺が大崩壊する。

*
니가 있는 곳
(君がいる場所)

아마 그곳이 Mi Casa
(多分そこが 僕の家)

With you I’mma feel rich
바로 그곳이 Mi Casa
(そこが僕の家)

미리 켜둬 너의 switch
(先に付けておいて君のswitch)

Yeah
말을 안 해도 편안할 거야
(言葉をかわさなくても余裕があるんだ)

너만 있다면 다 내 집이 될 거야
(君さえいれば全てが僕の家になるんだ)

You know I want that
Home
You know you got that
Home
*
ああ、ベッドが広いよ。
はやく家に帰ろう。
君のいる家に帰ろう。

それでまた一緒にいろんなことしよう。

つづく